2026年3月30日

【セミナーレポート】「リーシング×AIエージェント活用」で何が変わる? 出店候補者の発掘から初期アプローチ・商談準備までの実践ポイントを徹底解説

カウンターワークスが2026年3月27日に開催した「リーシング業務におけるAI活用の可能性 徹底解説セミナー」では、新規事業室・室長の林 詢蔵(はやし しゅんぞう)が登壇。家業でビル運営にも携わる当事者の視点から、出店候補の発掘、初期アプローチ、商談準備まで、リーシング実務にAIをどう組み込むかを具体的に解説した。

登壇者の紹介

株式会社カウンターワークス 新規事業室 室長 林 詢蔵

カウンターワークスの新規事業室にて、AI×リーシング領域の事業開発を担当。ショップカウンター・ショップカウンター エンタープライズの両プラットフォームで蓄積されたデータと生成AIを組み合わせ、リーシング業務の仕組み化に取り組んでいる。

カウンターワークスは、ポップアップ出店支援プラットフォームの「ショップカウンター」と、商業施設向けリーシング支援SaaS「ショップカウンター エンタープライズ」を展開しており、後者は1,200施設以上で導入されている。そうした現場接点を背景に、今回のセミナーでは「リーシング業務でAIをどう使えば、実際に仕事が変わるのか」が解説された。

冒頭では、日本ショッピングセンター協会との共同調査をもとに、現場のAI活用の現在地が共有された。生成AIの利用自体は広がっているものの、多くは議事録の整形、報告書のたたき台、営業資料の壁打ちといった個人利用にとどまる。背景にあるのは、施設や担当者ごとに業務の進め方が異なることに加え、ハルシネーション、セキュリティ不安、社内ルール未整備という三つの壁だ。つまり、AI活用の論点は「使うかどうか」ではなく、「どう業務設計に落とし込むか」へ移っている。

▼関連リリース: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000175.000013729.html

そのうえで林氏は、リーシング現場の構造変化を指摘した。人員は減る一方で、テナントの多様化、情報量の増大、施設間競争の激化によって、担当者に求められる仕事は増え続けている。特に今後は、大手チェーンとの既存ネットワークだけでなく、新興・ローカルブランドをどう発掘するかが施設の独自性を左右する。しかし、その探索を人手だけで続けるには限界がある。ここにAIを組み込む意義がある、というのがセミナー全体を貫くメッセージだった。

そんな中、2026年上期で盛り上がりを見せる、AIエージェントの概要と、リーシングにおける具体的な活用イメージを伝え、これから数年でどのようにリーシング業務が変わっていくかの全体像を示した。

実践デモの第1段階は、出店候補のリスト化だ。セミナーでは、ClaudeのTeam環境上で活用する「Claude Cowork」を用い、AIに対して専用の「プロジェクト」を作成し、役割を定義したうえで、定期実行タスクとして情報収集を走らせる流れが紹介された。

林氏は、ブラウザやExcel、PowerPointなどを横断して操作でき、技術者でなくても扱いやすい点からこのツールを採用したと説明。収集対象は、SNSや口コミ、企業HPやIR、業界ニュース、他施設での出店情報、さらには求人情報まで多岐にわたる。こうした公開情報に、施設・区画情報や契約・売上データを掛け合わせることで、AIが出店シグナルを検知し、候補プールを毎日更新していく構想だ。担当者はゼロから探すのではなく、追加された候補を確認し、判断する側に回れる。

第2段階は、初期アプローチの高度化である。従来は、一律の文面で多数の候補へ連絡するケースも少なくなかったが、AIを使うことで、ブランドの事業計画や業態特性、施設の立地や客層、MD戦略を踏まえた個別最適の文案を作れる。セミナーでは、候補リストの中から優先先を選び、AIが問い合わせフォーム入力やメール下書きまで進め、人が最後に確認して送信する運用イメージが示された。単なる時短ではなく、提案の解像度そのものを高める使い方として示された点が重要だ。

第3段階は商談準備だ。AIは、物件・商圏のテンプレート整理だけでなく、ブランドごとのマッチ理由を整理し、提案資料のドラフトまで支援する。

さらにセミナーでは、新規誘致だけでなく再契約時の活用にも踏み込んだ。契約満了時期の把握、事前リマインド、売上や契約条件、企業業績を踏まえた交渉ストーリーの整理まで、半自動で準備できるという。

リストアップ作業90%削減、アプローチ準備70%削減、商談準備70%削減という想定効果も示され、AIが単なる補助機能ではなく、リーシング業務全体の前工程を再設計する可能性が語られた。

終盤の質疑応答では、現場が気にする論点も具体的だった。再契約準備にAIを使えるのかという問いに対しては、契約書や売上データをもとに、交渉戦略のたたき台まで作成可能と回答。自動リストアップの重複については、「既存データと照合し、重複は追加しない」というルール設定でかなり抑えられると率直に説明した。また、飲食ブランド探索で重要なInstagramについては、ブラウザ操作による収集とAPI活用の両面が言及され、実装には一定の設計が必要であることも示された。

今回のセミナーで繰り返し強調されたのは、AIはリーシング担当者の代替ではないという点だ。情報収集や整理、たたき台作成をAIに任せることで、人は現地確認、目利き、関係構築、条件交渉、そして“この床でどう利益を最大化するか”という高付加価値業務に集中できる。リーシング業務のAI活用は、作業削減の話に見えて、実際には担当者の役割を再定義するテーマだといえる。

リーシング業務にAIをどう組み込むべきか、自社の施設・区画情報を踏まえて相談したい方は、カウンターワークスへお問い合わせください。出店候補の発掘、初期アプローチ、商談準備、再契約対応まで、どの業務から着手すべきかを個別にご相談いただけます。

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